「墨田の家」オープンハウスのレポート

昨日は「墨田の家」のオープンハウスでした。

オープンハウスをご快諾くださったお施主さま、お休みのところお越しいただいたみなさま、ありがとうございました。

アトリエ、本棚のLDK、ロフト、屋上、照明器具、洗面廻り、キッチン、本当に見所満載の「墨田の家」です。ご覧になっているみなさまと目の前のことを話しているだけでも話が尽きず、わたしたちもこのお宅の魅力を改めて感じ入った1日でした。

この家では、お施主さまがほとんどの塗装をご自身でされています。1階、2階とも、天井が高いお宅です。床・壁・天井を塗装されるだけでも本当に大変なこと。でも、その上に、トイレは落ち着いた雰囲気の色に、キッチンは木目の透け具合がとても風合いよく軽やかに、と場所によって塗り分けられ、格好よく居心地のよいお宅に仕上がっていました。

「墨田の家」の詳細は、これから「設計事例」でたくさんの写真でお見せしたいと思います。

 

LDKです。足場板の本棚、圧巻です。

キッチンの風合いもとてもいいです。

 

Thomas BernstrandのVivi Chair

久しぶりに椅子のことを。

Thomas BernstrandがデザインしたVivi Chair(Bla Station、2013)という椅子で、これも最近気になったデザインです。
脚も座面・背板とも成形合板でできています。この椅子は確かに魅力的なのですが、それがどこに起因するものなのかうまく言い表すことができません。成形合板の椅子なんていまはたくさんありますし、最小の部材が互いに構造的に補強しあうミニマルで合理的なデザインであることも魅力の十分な説明にはなりません。
デザイナー自身の説明を読むと少しわかった気がします。
フレーム材の曲がる部分のrを小さくすることに気を配ったそうです。確かに最初期の成形合板家具、たとえばアアルトのデザインなどに比べると曲率はだいぶ小さいです。これは技術的な挑戦でもあると思います。このことが、合板の椅子にしてはスクエアでかちっとした新しい印象をつくっているのでしょう。
しかしそうだとすれば、デザインの価値は細部に宿るという当然のことに納得する一方、20世紀の初頭にアアルトが全く新しい椅子を考案したときのダイナミズムに比べると小さい話である気もしてしまいます。

素直な合理性と幾分かの革新性、これが現代デザインの精一杯のところなのか、そんなことも考えさせられますが、好きなデザインの椅子です。

 

物語

長女がミヒャエル・エンデの「モモ」を読んでいるのを見かけました。

わたしも同じ年頃の同じ季節に同じようにコタツに足を突っ込みながら呼んでいた記憶があります。

思えば、わたしは物語が好きです。思春期の入口ではミヒャエル・エンデの作品に世界の広がりを感じていました。思春期の出口付近では、当時「ノルウェイの森」で脚光を浴びていた村上春樹の世界にどっぷりと浸りました。今でも、宮沢賢治など読み返しては、寒い雪山を思います。決して熱心な読書家ではありませんが、物語はずっと好きでした。

 

物語は設計をする上でも基盤となっています。

寝室でどんな物思いにふけるのだろうか、キッチンでどんな朝を迎えるのだろうか、夜の深い暗さの中で湯船につかるとき、何を見つめるのだろうか、、、。もちろんこれからのお施主さんの生活は、あらゆる可能性に満ちていて、私の想像力の及ぶ範囲ではありません。

ただただ、この家のすべての場所から、住まい手の物語がはじまれるような家にしたい、家のあちこちで始まった物語がやがてひとつの壮大なストーリーに育っていくような家にしたい、という気持ちで設計を進めています。お施主さんとは一緒に序章を書き上げている気持ちです。そして、そこから始まる物語をとても楽しみにしています。

 

 

◇「墨田の家」オープンハウスのお知らせ◇

1月22日(日)11時~16時 墨田区にて

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自分でつくる

「墨田の家」で使われているフローリングや木製ドアのメーカー、岡崎製材のMさんが事務所を訪ねてくださりました。

「墨田の家」では、お施主さんが室内塗装のほとんどをご自身でされていることをお話ししたところ、「それはすごくいい!」と大変共感され、「家づくり」の中でお施主さんのDIYがもたらす「よいこと」について、話がとても盛り上がりました。

わたしたちのお施主さんは、範囲や内容、時間のかけ方などは様々ですが、何かしらご自宅の建築作業に関わられる方が多くいらっしゃいます。作業自体はとても大変ですが、作業を通じてご自身の家についてより深く理解され、より愛着を増していらっしゃることに、私たち設計者もとてもうれしく思います。

壁の塗装中の「墨田の家」。

この後、壁につけられた印に沿って、足場板をつかった棚が取り付けられました。最後に取り付いたこの足場の板の荒い素材感に想像以上の力があり、空間がぐっと引き締まりました。

 

◇「墨田の家」オープンハウスのお知らせ◇

1月22日(日)11時~16時 墨田区にて

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木天板のキッチン(私の夢)

いつか自分のキッチンを設計するときがあったら、天板を木にしてみたいと思っています。料理をするのは好きな反面、億劫がりでもある私は、ふと部屋の片隅で、ふとテーブルの片隅で、食事を用意したり後片付けしたりできたらなあ、と思うのです。

また、木の天板の場合、水がしみこまないように、何度もオイルを塗りこみながら使うことになります。オイルを塗り重ねていくとどんな風に色が変わってくるか、水染みは目立つか、カビは生えないのか、など手入れの具合とキッチンの変化をこの目で見てみたい!そんな実験的な気持ちも強くあります。

 

◇オープンハウスのお知らせ◇

1月22日(日)11時~16時 墨田区にて

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昨日は出張で二人とも京都でした。

行きの新幹線からの風景です。

米原近くは雪でした。ゴゴンゴゴンと新幹線の音が響く中、耳の奥では、ピィウピィウとまるで風の又三郎が現れそうな気配を感じていました。

金曜日には、東京も雪のおそれあり、だそうですね。

 

◇オープンハウスのお知らせ◇

1月22日(日)11時~16時 墨田区にて

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春へ

先日、大家さんに「みかん」をいただきました。

私は留守にしていたのでこの実の名前を聞きそびれ、後で調べたところ、おそらく「黄金柑」。

とてもきれいな黄色で、大きさは八朔くらいです。

庭木で取れたもので無農薬だからマーマレードにしたら、とおっしゃっていたとのことで、つくる前から気持ちは甘酸っぱい香りでいっぱいです。

今週末は寒くなるような予報ですね。日曜日はキッチンでことこと火にかけながら、ゆっくり家でたのしみます。

 

◇オープンハウスのお知らせ◇

1月21日(土)22日(日)11時~16時 墨田区にて

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