建築における光(ここでは自然光)は大きなテーマです。
建築はシェルターです。外界から身を守るための殻であることが建築に求められる第一の要件です。遮断することが一番大事なことです。
ところが光を取りこむということは、シェルターに穴をあけることで、せっかく閉じたものに弱点をつくることになります。
建築空間に差し込む一筋の光がありがたく時に神聖なものに見えるのは、元来あるはすがないものを与えられたことへの感謝の念や意外性が無意識にあるからだと思います。それをうまく使っているのがロマネスク様式の教会建築です。ゴシック教会もステンドグラスに光を利用していますが、ロマネスクのほうが光の扱いはよりストレートです。
空間の中での光に人は無条件に惹きつけられるのだと思います。視線の先に光があると、どうしてもそちらに行ってしまいます。それを利用して計画するとサインに頼らない、感覚に従った自然な動線がつくれます。