二十数年授業を持っているスペース・デザイン・カレッジの入学式が自由学園明日館講堂でありました。毎年この場所を借りて入学・卒業の式典が行われます。今日は冬に逆戻りしたような天候でしたが、新年度の空気を感じられるこの時間と空間がよかったです。来年の入学式までこの新鮮な気分を持ち続けられればよいのにな、と毎年思います。
この講堂はライトの弟子遠藤新の設計で1927年に完成しています。ル・コルビュジェのサヴォア邸の完成は1931年なのでその少し前の建築です。大規模改修工事を経て1997年に重要文化財に指定されています。明日館の道をはさんだ向かいに建っています。
教会を思わせる長椅子(背板の裏に聖書置きのようなラックが付いてます)に腰かけて気づくのは、この椅子も含めいろんなところにラワン材がペンキ塗りで使われていることです。ラワンといえば今はべニヤですがここでは無垢のラワンです。想像するに当時からラワンは安い材料でその使用はコストを抑えるためだったのではないでしょうか。いまはあまり見ることがない素材の使用法が気持ちをタイムスリップさせます。夕闇が降りてくると球形の照明が窓ガラスの内側に写り込みそれが外の緑と重なります。とても居心地の良い空間です。