「キッチン回顧録」02

今日はO HOUSE のキッチンを見てみます。
丘の上に建つこの住宅の2階はドーム状の天井に包まれた、暖かな安心感のあるリビングです。帰宅して緩やかな階段を登ってくると、キッチンと暖炉と夕陽も落ちかけた淡い光の中の人影。または、朝あわただしく支度をしながらキッチンの周りを動く大人や子供たち。まるで「うち」を見守るようなキッチンだなあ、と改めて写真を見ながら思います。

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リビングのテレビ台とキッチンの収納棚を一続きにつくり、リビングの中のキッチンの存在を小さめに見せています。

 

「キッチン回顧録」01

こちらは「小さくて広い家 K HOUSE」のキッチンです。

急勾配の天井を細かなピッチで並ぶむき出しの梁が支えるリビング空間。リビングの床面積は大きくありませんが、テラス窓越しにゆれる木々の葉、その先の空、移ろう光、時間の豊かさが感じられる場所です。
そこにそっと小さな箱をおきました。シンクと2口コンロだけの本当にシンプルな箱です。自然光の入る食器棚も、キッチン周りの雑多なモノたちの存在を、少し軽やかにしてくれるのではないかと思います。

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奥のカギ型の壁は冷蔵庫置き場です。

 

「キッチン回顧録」序章

先日、知人との会話で「アイランドキッチン」が話題になりました。その後、あのお宅このお宅でのいろんなキッチンたち が心に浮かんで、一度ゆっくりふり返ってみたくなりました。

キッチンの検討では、 シンクやコンロや換気扇といった機器独特の存在感がリビングダイニングの空気を圧迫感しないように、空間の雰囲気に自然に馴染む形や仕上げを考えます。
ぴったりと雰囲気の合うものを既製品の中から探し出すのはむずかしく、ほとんどの場合、私たちが設計して工務店さんに作ってもらっています。

シンプルな白い箱にしてみたり床色に合わせて木目を出したり。その上の換気扇が気になって急勾配の天井に似合う造形を作ってみたこともありました。
ちょっと大げさですが、キッチンでは、その住宅全体のデザインコンセプトを今一度おさらいをしながら設計しています。

一方では、コンロはガスかIHか?シンクの大きさは?天板は?と機能や使い勝手などについてもクライアントと相談を重ねながら進めるこの作業は、いろいろなことをお話する設計期間の中でも、特に思い出に残りやすい部分です。

しばらく何回かに分けて「キッチン回顧録」を綴ってみたいと思います。

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K HOUSE