杉並区和泉で設計を進めている集合住宅のプロジェクト。
このプロジェクト、敷地が接しているのは道路ではなく「水路」なのです。
水路と言っても、だれがどう見ても道路。水など一滴も見られず、交通標識も電柱も立っています。でも役所的には水路。なぜこのような矛盾状態が長年にわたり放置されているのか、大いに疑問を感じます。ここで必要になるのが、「建築基準法43条1項ただし書きの規定による許可申請」という長い名前の手続き。これが確認申請の倍くらい大変です。その作業を辛抱強く進めています。
いま、ガイドライン調査というものにたまたま2件つづけて関わっています。
このガイドラインとは、正式には「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」といい、2014年に国土交通省が公表したものです。検査済証をもたない建築物の法適合状況を客観的に評価するその方法の指針です。
1990年代くらいまでは、確認申請は出すが完了検査は受けない、という例がかなりあったと聞きます。そのなかには、違法な箇所を持つから検査を受けない、というものもあるでしょうが、単に面倒だから検査は受けない、という場合も多かったのではないでしょうか。しかし検査済証がないと、完成後しばらくして増築や用途変更が必要になっても、そのための確認申請を出すことが原則できません。ガイドライン調査は、そのような検査済証のない建築物が法律に適合している場合、不適合箇所があっても是正し適合状態にする場合には次の変更に進めるよう、その道筋を付けてくれる新しい制度です。
建築物の変更や増築を行いたいが検査済証がない、そういう悩みをお持ちの方は、この調査の活用を検討されるとよいと思います。
杉並区の和泉というところで、集合住宅のプロジェクトが始まっています。お施主様は鉄工会社を経営されており、当然建物は鉄骨造で考えています。鉄骨加工工場を相模原にお持ちで、先日その工場の見学をさせていただきました。われわれ設計者は、鉄骨造の建築を建設するとき、製品検査といって工場に現物確認に行くことがありますが、今回拝見した工場は普段行く工場よりだいぶ大きい規模で、興味深くいろいろな場所を見せていただきました。
加工手順に従って機械が並び、ラインを形成しています。
これはガセットプレート(柱、梁の主材に取り付ける接合のためのプレート)です。上下の向きを間違えないように目印として上角を落とすのだそうです。なるほど。
候補に挙げていた床フローリングの実物を確認しに、お施主さまと三軒茶屋にある「nature design」(岡崎製材)のショールームに行ってきました。
いつも相談に乗っていただいている三浦さんに、樹種や製造工程、風合い、足触りの違い、メンテナンスのことなど細かく説明していただきました。(三浦さんの樹への愛がとても感じられる興味深く楽しいご説明でした!)
以前、事務所でカットサンプルをお見せして候補に挙がっていたサーモアッシュというフローリング。普通のフローリングは樹を乾燥させて使いますが、このフローリングは樹を窯で焼く!そうです。焼いた結果気泡がたくさんできる為、素足で歩いてもひんやりとせず、さらりとした、とても快適な足触りに仕上がっています。が、生の樹に比べて色むらが大きく出るのも特徴です。カットサンプルでは色むらの加減がわからないので、ショールームにて実際に張るときのように並べてもらいました。
結果、色むらの風合いも自然でとてもよい!と決定です。
樹の香りにつつまれ、なんとも癒される数時間でした。
実物を大きな面積に並べると、カットサンプルや写真では伝わりきらない雰囲気がよくわかります。