団地の「空間」

連休の谷間であった今週月曜日、スペースデザインカレッジの2年生の見学会に同行してきました。行き先はURの技術・コスト管理部技術管理分室です。URの研究・展示施設で、予約をすれば誰でも見学が出来るそうです。いくつかの分野の展示を職員の方の案内付きで見せていただきました。一番印象的だったのは「集合住宅歴史館」の中に移築復元されている晴海高層アパートの住戸です。前川國男設計のこの集合住宅は1997年に解体され、その一部がここに保存されているのです。解体直前この建物を見に行った記憶がよみがえりました。そのときはもう内部を見ることはできなくて、今回初めてその住戸の空間を体験することができました。この集合住宅歴史館には、他にもいくつかの団地の住戸が保存されていますが、この「晴海」が際立っているのは、そこに紛れもない「空間」があることです。私はある時期前川國男の公共建築作品(東京文化会館など)をいくつか集中的に見た経験がありますが、それら以上にこの住戸空間には感銘を受けました。できるだけ戸数を稼ぐことが求められた効率重視の時代の公団住宅という建築に、よくこれほどの美的なものを盛り込むことができたと感心します。前川國男という建築家の才能をここに見ることができます。

 

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都会を感じる街、台北


仕事で何度か台北を訪れたことがあります。私は台北の街は東京より都会っぽい、という印象を持っています。台北のどこに都会を感じるかというと、都心部にたくさんの人が住んでいる点です。台北の街はほぼ碁盤目状の道路が通っています。メインストリート沿いには大きな建物が建ちその1階部分はほぼ全てが商店です。上階は事務所として使われていることが多いようですが、住宅が入っているところも結構あります。大通りから街区内に入るとほとんどの建物は(上の写真のような)中層の集合住宅です。戸建て住宅というビルディングタイプはあまり見かけません。都心の貴重な空間を効率的に使い、都心ならではの利便性や楽しさを皆で共有しているかのようです。東京は住居地区と業務地区がはっきり分かれているので、毎日離れた2つの場所を行き来する人が多いですが、台北では職住の隔たりはずっと小さいはずです。住む場所の近くで仕事をすることが出来れば、昼夜地域の情報に多く触れるので、自分の街という感覚を強く持つのではないかと思います。私は台北の人々の表情に穏やかさや余裕を感じます。それは自分の街にいる、という安心感から来るものであり、そういうものが都会の人の顔ではないかと思うのです。

 

 

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