連休の谷間であった今週月曜日、スペースデザインカレッジの2年生の見学会に同行してきました。行き先はURの技術・コスト管理部技術管理分室です。URの研究・展示施設で、予約をすれば誰でも見学が出来るそうです。いくつかの分野の展示を職員の方の案内付きで見せていただきました。一番印象的だったのは「集合住宅歴史館」の中に移築復元されている晴海高層アパートの住戸です。前川國男設計のこの集合住宅は1997年に解体され、その一部がここに保存されているのです。解体直前この建物を見に行った記憶がよみがえりました。そのときはもう内部を見ることはできなくて、今回初めてその住戸の空間を体験することができました。この集合住宅歴史館には、他にもいくつかの団地の住戸が保存されていますが、この「晴海」が際立っているのは、そこに紛れもない「空間」があることです。私はある時期前川國男の公共建築作品(東京文化会館など)をいくつか集中的に見た経験がありますが、それら以上にこの住戸空間には感銘を受けました。できるだけ戸数を稼ぐことが求められた効率重視の時代の公団住宅という建築に、よくこれほどの美的なものを盛り込むことができたと感心します。前川國男という建築家の才能をここに見ることができます。