長女がミヒャエル・エンデの「モモ」を読んでいるのを見かけました。
わたしも同じ年頃の同じ季節に同じようにコタツに足を突っ込みながら呼んでいた記憶があります。
思えば、わたしは物語が好きです。思春期の入口ではミヒャエル・エンデの作品に世界の広がりを感じていました。思春期の出口付近では、当時「ノルウェイの森」で脚光を浴びていた村上春樹の世界にどっぷりと浸りました。今でも、宮沢賢治など読み返しては、寒い雪山を思います。決して熱心な読書家ではありませんが、物語はずっと好きでした。
物語は設計をする上でも基盤となっています。
寝室でどんな物思いにふけるのだろうか、キッチンでどんな朝を迎えるのだろうか、夜の深い暗さの中で湯船につかるとき、何を見つめるのだろうか、、、。もちろんこれからのお施主さんの生活は、あらゆる可能性に満ちていて、私の想像力の及ぶ範囲ではありません。
ただただ、この家のすべての場所から、住まい手の物語がはじまれるような家にしたい、家のあちこちで始まった物語がやがてひとつの壮大なストーリーに育っていくような家にしたい、という気持ちで設計を進めています。お施主さんとは一緒に序章を書き上げている気持ちです。そして、そこから始まる物語をとても楽しみにしています。
◇「墨田の家」オープンハウスのお知らせ◇
1月22日(日)11時~16時 墨田区にて