団地の「空間」

連休の谷間であった今週月曜日、スペースデザインカレッジの2年生の見学会に同行してきました。行き先はURの技術・コスト管理部技術管理分室です。URの研究・展示施設で、予約をすれば誰でも見学が出来るそうです。いくつかの分野の展示を職員の方の案内付きで見せていただきました。一番印象的だったのは「集合住宅歴史館」の中に移築復元されている晴海高層アパートの住戸です。前川國男設計のこの集合住宅は1997年に解体され、その一部がここに保存されているのです。解体直前この建物を見に行った記憶がよみがえりました。そのときはもう内部を見ることはできなくて、今回初めてその住戸の空間を体験することができました。この集合住宅歴史館には、他にもいくつかの団地の住戸が保存されていますが、この「晴海」が際立っているのは、そこに紛れもない「空間」があることです。私はある時期前川國男の公共建築作品(東京文化会館など)をいくつか集中的に見た経験がありますが、それら以上にこの住戸空間には感銘を受けました。できるだけ戸数を稼ぐことが求められた効率重視の時代の公団住宅という建築に、よくこれほどの美的なものを盛り込むことができたと感心します。前川國男という建築家の才能をここに見ることができます。

 

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奥行き

先日UPした「アトリエのある家」から写真を1枚。

1階のアトリエから奥へ1歩すすみ、すぐ左手のドアがトイレ、土間床をはさんで正面奥が靴入れ、その奥が洗面室です。

建築を勉強し始めたころ早い段階で、「前景・中景・後景」の言葉を習いました。いくつかの建物のを配置する上で、手前、真ん中、その奥、と建物がずれながら重なってゆく風景をデザインして空間の奥行きを演出する手法の説明です。母校のキャンパス計画はまさしくこの言葉にのっとってデザインされており、在学中キャンパス内の寮に住んでいた私は1日のほとんどをそのデザインの中で過ごすことで、無意識の奥の奥までも刷り込まれました。

住宅の内部空間は大学のキャンパスと比べるとずっと小さい空間ですが、やはり「前景・中景・後景」を意識して設計しています。限られた空間に多くの機能を盛り込みたいときは特によく意識して、小さな機能の集まりがぎゅっと詰め込まれた印象にならずに逆に奥行きのある空間に感じられるよう心がけています。

 

「アトリエのある家」

 

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