10mの家interview

10mの家

interview

東京都 木造3階建て 専用住宅 82㎡

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 お引渡しからもうすぐ3年。「10mの家」は、時がたつにつれてその魅力を増しています。伸びやかに自然体にうつくしく進化しつづける「10mの家」とお施主様のKさんご一家を訪ね、あらためて家づくりのスタート地点からお話を伺ってきました!

 

今日はよろしくお願いいたします。さっそくですが、まず家を建てようと思われたきっかけは?

結婚をして東京にある妻の実家の近くに住もうと思ったのがきっかけです。

子育てできる広さのアパートと駐車場を借りるか、マンションを購入して駐車場を借りるか、土地+建物を購入するか、コストのシミュレーションをしてみたところ、土地+建物を購入するのが一番よさそうだったので、土地を買って一戸建てを建てることに決めました。

 

建築家に頼もう、と思われたのはどうしてでしょう?

戸建てを、となり、まずは建売住宅などを見に行ったのですが、購入できる大きさの建物を見ると、とても狭く感じました。いくつか見て、結局自分たちが望む家は建売では無理かと思い、建築家を探すことにしました。

テレビでよい感じの家が出ているよ、と妻に見せると、妻が買った「住まいの設計」にも同じ建物が出ていて、よく読むと、事務所も近所というのが分かりました。あと、土地探しから手伝います、とホームページに謳っていたのも、背中を押しましたね。土地を買うにあたって本で勉強したりしましたが、本当に買ってよい土地なのかどうか自信が持てない。出来れば設計をお願いする人に相談したいと思っていました。雰囲気が気に入り、事務所が近い、土地探しもしてくれる、ということで石井井上さんたちに決めました。

 

そこでスタートした土地探し。先ほども少しお話がありましたが、どんなところが不安でしたか?

自分が「いいな」と思える家が建つかどうかが分からないのが、不安でした。

この土地も、北向きで、長細くて、どうなるのかな、と思っていましたが、石井さんからスキップフロアのプラン案をみせてもらって、このような可能性もある土地なら良いか、と決断することが出来ました。

(奥様)あの案はとても気に入っていて、いまでもスケッチをとってあるんですよ。

結局、スキップフロアではないプランになりましたが、でもこのほうがより広がりを感じられるのかな、とも思っています。

 

設計時のわたしたちからの説明は分かりやすかったでしょうか?

分かりやすかったですね。

模型を見ながらの打合せは分かりやすかったし、建物に関する考え方も分かりやすかったです。設計に関して分かりにくい、ということはなかったです。

例えばリビングを2階にするか3階にするかなども模型を見ながらイメージをして決めることが出来ました。

 

基本設計のときに、お隣との境界線からの離れの距離をどうするか話題にしたことがありました。お隣に許可を取って50センチ以下として少しでも巾をとれる家にするか、離れを民法どおり50センチとって細長い家にするか、ということでしたが、Kさんは「細長い家なのだから、長さを取れるようにしたらいい」といったことをおっしゃいましたね。その一言がそのあとの私たちの設計の方針も決めました。

土地の特徴を活かすのがよいと思ったんですよね。せっかく細長い敷地なのだから、建物も細長く。

 

その「細長い」家の中に住まわれての印象はいかがですか?

「広さ」というのはすごく感じますね。一人暮らしのときに住んでいた30㎡の部屋と、今の家のワンフロア分の30㎡とは全然違います。2階は特に天井高さがあるからだと思いますが、とても30㎡とは思えない。広いなあ、と思います。建売住宅を見たときのような狭くるしい感じは1度も受けたことがないですね。

そういう意味では、一番期待していたことが、実現できたと思います。

 

 

建設中はどのようなことをお考えでしたか?

あまり考えてないですね。このあと、自分で壁などを塗らなくてはならない、という方に気がとられていて(笑)。

 

模型をみてイメージしていた空間が、現実に「分かって」きたのはいつぐらいですか?

骨組みが出来て中に入れるようになって、階段がつく前くらいですかね。そのときは大工さんの道具などものがたくさん置いてあって、実は「あっ、せまいな」と感じたんですよ。それが、片付き始めたら思ったより広い(笑)

(奥様)施工中は、たくさん物を捨てなきゃって、覚悟しましたね(笑)。

最後、白く塗られると、ああ、いい感じだなあ、と、思いました。

 

今回、壁と天井はご自身で塗装されました。もう1回家を建てることになったら、またご自身で塗られますか?

塗ると思います。今回はAEP(水性のペンキ)を塗りましたが、最初に検討していた珪藻土か何かはいっているドイツの塗料を塗ってみたいですね。

自分で塗ると、工事中なのに現場に入れるという楽しさがありました。普通はそんなに長く見れない大工さんの様子もずっと見ていられるのが楽しかったです。それと、塗ると家のことがよく分かる。大工さんの「あら」とかもね(笑)。ただ、思ったよりも時間がかかりますね。

新築時は、汚れたらまた塗ろう、と思っていましたが、じっさいに白に傷が着いてきたのを見るととむしろ、美しい傷というか、このままでもいいかな、とも思っています。

鉄骨階段の塗装なんかも子どもがミニカーで遊ぶのではげてきていますが、さびたりしない限りこのままでいいですね。

 

設計、建設を通してむずかしかったところはどんなところでしょう?

むずかしい、といえば、建設に入る前、設計の最後のところで見積もりをする、そこのところがむずかしいと思いましたね。削らなくてはならない物が出てくるのが、設計の途中ではよく分からないじゃないですか。素人なので、予算の勘がつかめないのは仕方ないのかな、と思いました。

 

Kさんのような住み方、どんどんご自分で家に手を入れていく、というのは一番よい住み方だと思っています。建物のことをよく知るチャンスでもあるし、やっぱり、人間が持っている「環境をアレンジする力」を使ってご自身の環境を自分でつくっていく、という建物との関係はとてもよいと思います。

この家はアレンジのしがいがありますね(笑)。なかなか時間がないけどね。

 

最後に、Kさんの手がけたあたらしい作り付け家具たちを拝見してよろしいですか?

ぜひどうぞ。

 

先日完成したという、棚。窓枠ぴったりに納めるために、板取をわざと大きめに設計したそうです。

少し大きいところを削らなくてはならなかったのが大変だったそうですが、すばらしい出来栄えです。

 

キッチン後ろの壁にはかわいいスパイスラックが作られています。

 

下階の書斎では、これもキッチンに置かれる収納棚が製作中でした。コーナーに置く複雑な仕様を、とてもすっきりとデザインされています。

 

奥に見える自転車のフックやコート掛け、本棚やPC机はお引越しされてまもなくに製作されました。その後製作された窓上の棚にはお宅を設計していたときの模型が二つ飾られていてとても嬉しかったです。

 

入居されるまでは家具作りはあまり経験がなかったとのKさんですが、奥様も「どんどん高みに上っていっている」とおっしゃるように、いまではプロの家具職人のようでいらっしゃいます。家のデザインコンセプトをお引渡しのあとも発展させて家全体を進化させて暮らしていらっしゃるご様子に、私たちもとてもわくわくしました。これからもまた時折、拝見しにおじゃましたいと思います。

Kさん、奥様、そしてインタビュー中、かわいい笑顔をふりまいてくれたKくん、どうもありがとうございました!

  

→設計事例「10mの家」

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