スタッキングできる椅子はできない椅子よりデザイン的にすぐれているのでしょうか?
椅子デザイナーの気持ちになってみるとそこは非常に悩むところと思われます。なぜならスタッキング可能にしようとすると多くの場合、前脚2本の間隔より後脚2本の間隔が広くなってしまいデザインに縛りが生じるからです。
集会や会議用の椅子なら必要な機能ですが、家庭用の木製椅子が積み重ねられるニーズはほとんどないように思います。素敵なデザインであればあるほど、それを部屋の中で積んでおきたいとは思いません。しかしデザイン性の高い木製ダイニングチェアでスタッキングできる椅子は結構多いです。
輸送コストを抑えるため、という話も聞きますが、高付加価値のデザインが施された十分高価な椅子であれば数千円乗っかったところで購買意欲はさほど変わらないはずです。
スタッキングが可能でありながら美しいデザインをつくる、このハードルは実はニーズとは別のところにあって、デザイナーの美学や挑戦心をくすぐる魔力があるのではないか、と私はにらんでいます。
これはNitzan CohenデザインのSolo chair(Mattiazzi)。