バラガンの建築には興味を持てずにいました。外界と切り離された小宇宙のような空間が耽美的過ぎると感じていたからです。
バラガンの建築に共感を覚えるようになったのは彼の自邸の外観を知ってからです。
彼の自邸は例にもれず、光・色と素朴な素材がつくる独特な豊かな空間を内にもっていますが、その外観は、それが著名な建築家の作品(しかも自邸)とは思えないほど飾り気がないものです。メキシコシティー都市部の建築はセキュリティーのためか道に対しては閉鎖的なつくりが多いようです。また隣りと接して建てるのが普通なのか、バラガン自邸も隣家と壁が連続しておりどこからが彼の建築なのか分かりにくいです。驚くほど周囲に同化しており外観に建築作品っぽさがないのは拍子抜けしてしまいます。(大きい家であることにも驚きますが)
この建築に見られる「そっけない外観+豊かな内部空間」という対比的な組み合わせを知り、これが住宅建築のあるべき姿なのかも知れない、と思い始めました。
つづきはまた。