Jhon KandellのCamilla Chair

今は亡きJhon Kandellというスウェーデンのデザイナーをご存知でしょうか?
私も全く詳しくは知らないのですが、このCamilla Chairという椅子が、何年も前の雑誌”BRUTUS”に載っていたのが強く記憶に残っていました。当時BEAMSがこの椅子を扱っていたその広告として写真が載っていたのです。3本脚で巾が狭く、すわり心地には疑問がありますが、邪魔にならず、キッチンや玄関などで物を乗せたり、ちょっと腰掛けるのにちょうどよさそうです。ソリッドな木を彫刻のように面取りした座面を持つ、とてもオブジェ的で眺めていて楽しいデザインです。機能的な家具というより、部屋に一つあって空気を引き締める役割の椅子です。こんな椅子もあってよいと思います。

 

**2月の無料相談会のお知らせはこちら!**

19日(日)はまだご予約可能です。ぜひお気軽にお越しください!

 

self made furniture

 

事務所でつくった椅子です。

ほかにも椅子数点、棚、ベンチなど家具デザインの実物大模型として、自作しています。左側のものはボール紙で作られているので座れませんが、右側の椅子は使ってます。

 

 

うちの子どもたちは、この椅子で食事をしていました。

 

また、少しずつご紹介したいと思います。

 

**2/18(土)、/19(日)に無料相談会を行います**

詳しくはこちら

 

Thomas BernstrandのVivi Chair

久しぶりに椅子のことを。

Thomas BernstrandがデザインしたVivi Chair(Bla Station、2013)という椅子で、これも最近気になったデザインです。
脚も座面・背板とも成形合板でできています。この椅子は確かに魅力的なのですが、それがどこに起因するものなのかうまく言い表すことができません。成形合板の椅子なんていまはたくさんありますし、最小の部材が互いに構造的に補強しあうミニマルで合理的なデザインであることも魅力の十分な説明にはなりません。
デザイナー自身の説明を読むと少しわかった気がします。
フレーム材の曲がる部分のrを小さくすることに気を配ったそうです。確かに最初期の成形合板家具、たとえばアアルトのデザインなどに比べると曲率はだいぶ小さいです。これは技術的な挑戦でもあると思います。このことが、合板の椅子にしてはスクエアでかちっとした新しい印象をつくっているのでしょう。
しかしそうだとすれば、デザインの価値は細部に宿るという当然のことに納得する一方、20世紀の初頭にアアルトが全く新しい椅子を考案したときのダイナミズムに比べると小さい話である気もしてしまいます。

素直な合理性と幾分かの革新性、これが現代デザインの精一杯のところなのか、そんなことも考えさせられますが、好きなデザインの椅子です。

 

スタッキング問題

スタッキングできる椅子はできない椅子よりデザイン的にすぐれているのでしょうか?

椅子デザイナーの気持ちになってみるとそこは非常に悩むところと思われます。なぜならスタッキング可能にしようとすると多くの場合、前脚2本の間隔より後脚2本の間隔が広くなってしまいデザインに縛りが生じるからです。

集会や会議用の椅子なら必要な機能ですが、家庭用の木製椅子が積み重ねられるニーズはほとんどないように思います。素敵なデザインであればあるほど、それを部屋の中で積んでおきたいとは思いません。しかしデザイン性の高い木製ダイニングチェアでスタッキングできる椅子は結構多いです。

輸送コストを抑えるため、という話も聞きますが、高付加価値のデザインが施された十分高価な椅子であれば数千円乗っかったところで購買意欲はさほど変わらないはずです。

スタッキングが可能でありながら美しいデザインをつくる、このハードルは実はニーズとは別のところにあって、デザイナーの美学や挑戦心をくすぐる魔力があるのではないか、と私はにらんでいます。

これはNitzan CohenデザインのSolo chair(Mattiazzi)。

dsc2414

 

LÄUFER + KEICHELの330

椅子のデザインを見ていろいろと考えることが好きです。

20世紀のアイコンから近年のものまでチェックしていますが、ここ数年で一番気になるのはこの椅子です。

LÄUFER + KEICHEL(ベルリンのデザインユニット、発音不明)による、Thonetの330 です。

無駄がないシンプルなデザインです。眺めていて気持ちがすっきりする清々しさがあります。

構造的にもしっかりしてそうなところが良いです。前脚根元の剛性を座面合板が補強しているように見えます。

プルーヴェのスタンダードチェアを木製に置き換えた風にも見えます。全体の佇まいや、座面がまえのところでキュッと下がっているところが似ています。かなり意識してデザインされているのではないでしょうか。リファレンスをほのかに感じることが、単純明快な形に奥行きを与えている気がします。

他にも注目している椅子がたくさんありますので、また書いてみます。

thonet-chair-330-b

日本ではまだ買えないみたいです。