がけ条例

去年から今年にかけて手がけた計画のいくつかは、何らかの形でいわゆる「がけ条例」が関係していました。そこで感じるのはがけ施策の矛盾です。都内の場合は東京都建築安全条例の第6条に「高さ2m以上のがけ」に隣接するときの規定があります。擁壁がある場合はその擁壁の安全性を証明しなければならない、証明できないときは高さの2倍の距離を離して建物を建てる、防護壁を建てるなどの措置が必要、といった内容のものです。安全性の証明とは、主に擁壁の工作物確認申請書・検査済証の存在を確かめることです。

擁壁というのはだいたいが高いほうの土地に入っているので、がけ下で建設行為を行う場合は、人さまが提出した確認申請の資料を調べるという気が進まない調査をすることになります。私たちが遭遇した一つのケースでは、擁壁に思われた壁が実は建築物と一体の構造体であった、というものでした。そうなると擁壁単独の確認申請はいくら探しても出てこない、ということになります。このケースのときは隣地建物所有者が竣工図を見せてくれてそのことが判明しましたが、そこにたどりつくまでにえらく苦労をしました。図面を見ることができなかったら宙ぶらりんの状態でなすすべもない、ということになっていたかも知れません。

このように、2mを超えるがけ下に建設をしようとすると、なにかと面倒なことが起こります。

隣地に古い擁壁がある場合、その所有者に擁壁の補強やつくり直しを交渉することも選択肢の一つですが、擁壁の工事費は高いので、すんなり合意されることは少ないでしょう。

がけの安全性確保は大事なことですが、安全第一を標榜するなら行政は古い擁壁の持ち主にもっと積極的に補強をはたらきかけるとか、擁壁の申請情報をもっと誰もが探しやすくする(今も情報は取れるが「奥のほうにある」といわざるをえない)とか、条例がスムースに運用され効果を発揮する工夫をするべきだと思います。

今は制度上は、がけ上敷地の所有者が擁壁を築造しても、接するがけ下土地所有者に通知する義務はありません。がけの上下で情報共有の仕組みがないのはどう見てもおかしいです。

がけ下の人は他人の所有物の状態に受身でいるしかないのが現状です。こういうことを何とか改善して特定の個人に負担が集中しないようになってほしいものです。

 

建築ストックの活用・・・建築基準法改正

6月に建築基準法の一部改正が公布されました。今回の改正、柱の一つは「既存建築ストックの活用」です。私が注目する具体的内容は、確認申請が必要な用途変更の規模が100㎡から200㎡に緩和される、という部分です。200㎡というと、ちょっとした規模の集客施設の計画ができるので、この改正により既存建築物の活用は確かに促進されると思われます。確認申請が不要になる=古い建築そのままでいい、ということではありませんが、手続きを省略できるだけでも計画の労力、コストが抑えられます。これから新築は確実に減っていきますが、建ってしまった建築は必ず老朽化・陳腐化するもの。その利活用市場をより活性化させようという産業面の意図があるのでしょう。それはともかく、こういうコンセプトがより柔軟で細やかなものに発展していくと、日本の都市の姿は歴史が重層する厚みあるものになっていくと思います。都市において、なんでもない建築だとしても、古いものと新しいものが共存する様は自然で豊かな状態ではないでしょうか。ひとまず歓迎されるべき改正です。

「1年以内の施行」なので、来年6月までには改正が実行されます。

 

 

鉄骨のリフォーム

最近は、鉄骨住宅のページ内容を充実させた影響もあり、鉄骨建築のリフォームのご相談も増えています。そこで感じることを今日は書いてみようと思います。

鉄骨の建築の特徴は、一言でいうと「強固な躯体と軽い間仕切り」という組み合わせでできている点です。なので、仕切りを取って部屋を広くする、仕切りの位置をずらす、というリフォームは比較的簡単です。鉄骨建築の間取りの可変性を感じる点です。木造建築はというと、間仕切りと構造壁が一体化している場合が多く、間取りの変更=構造の変更、になることがあるため、リフォーム設計の自由度は鉄骨より低いといえそうです。一方で鉄骨建築において、躯体をいじる工事、つまり柱・梁の位置を変える、床を抜いて吹抜けをつくる、という変更は工事も非常に大変であり、法規への適合性もよく検討しないといけません。しかし、このようなリフォームも、新耐震の建築で、検査済証がある場合は法的手続きがスムースにいくので、まだやりやすいです。旧耐震の建築をいじろうとするとコストと時間がかかるのを覚悟しないといけません。

 

 

鉄骨工場見学

杉並区の和泉というところで、集合住宅のプロジェクトが始まっています。お施主様は鉄工会社を経営されており、当然建物は鉄骨造で考えています。鉄骨加工工場を相模原にお持ちで、先日その工場の見学をさせていただきました。われわれ設計者は、鉄骨造の建築を建設するとき、製品検査といって工場に現物確認に行くことがありますが、今回拝見した工場は普段行く工場よりだいぶ大きい規模で、興味深くいろいろな場所を見せていただきました。

 

加工手順に従って機械が並び、ラインを形成しています。

 

これはガセットプレート(柱、梁の主材に取り付ける接合のためのプレート)です。上下の向きを間違えないように目印として上角を落とすのだそうです。なるほど。

 

 

 

 

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木造耐震診断資格者になりました


先日受講した国交省登録木造耐震診断資格者講習の修了証がとどき、木造耐震診断資格者になりました。普通の耐震診断は建築士であれば出来るのですが、この耐震診断資格者というのは、法律で耐震診断が義務づけられている建築物の診断を行うことが出来る資格です。

木造住宅のリノベーションをお考えの方は、耐震診断を行って必要に応じた補強を組み込んで行くことをお勧めします。そういう方、ぜひお声がけ下さい。

 

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地盤調査時にわかる設計事務所のメリット

住宅を新築するときには地盤調査が必要です。地盤調査は計画の初めのうちに行うのが普通です。調査結果を踏まえた設計を行う必要があるからです。
建物の構造形式を決定するのに地盤調査結果は重要な判断材料になります。建物の単位面積あたりの重さは一般にRC、鉄骨、木と軽くなるため、同じ地盤強度でも、RCなら補強が必要だが鉄骨・木なら不要といったことも起こります。地盤補強には相当のコストがかかる場合もあり、一定の金額のなかで建築をしようとする場合、地盤補強の要・不要、必要ならその金額、を早期にわかっている必要があります。
ここで、私たちのような、さまざまな構造の住宅が設計できる設計事務所のひとつのメリットが見えてきます。構造形式が決まっているハウスメーカなどでは、地盤が弱かった場合には、「ついてなかった」とあきらめて想定以上のお金を払って補強をするか、計画を縮小、中止するしかないでしょう(その時点で解約ができるのかどうかはわかりませんが)。しかし、設計事務所の場合は構造を変えてコスト調整ができるので、建物規模を縮めての金額調整をしなくて良いケースもありえるのです。
資金の最大限有効な使い方の助言をし、家づくりのいろいろな局面を柔軟に乗り越えていくのが設計事務所の特徴で、それは家づくりの初期段階から発揮されるものなのです。

 

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homifyで紹介されました

住宅関連の情報サイト”homify”の記事「防火を考えた住まいについての基礎知識」のなかで、「10mの家」が取り上げらました。

都市部の木造三階建てで、構造体の木の梁などを被覆しないで見せるため「燃え代」を見込んで設計している手法についてです。

ぜひご覧ください!

 

 

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